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マーケティング基礎
投稿日:2019.12.3 / 更新日:2024.2.5
OKRとは?KPI・MBOとの違いと具体的な運用方法
Google社やFacebook社なども導入している目標管理手法「OKR」が近年注目を集めています。「OKR」とは、Objectives and Key Results(目標と主要な結果)のことで、ここでは、従来より広く活用されている指標であるKPIやMBO等との違い、さらにOKRの具体的な運用方法について解説します。
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目次
OKRとは
OKRというメソッドは米国のインテル社で誕生したといわれ、その後、シリコンバレーの有名企業が次々と導入したことで知られるようになり、外資系企業では一般的なものになりました。近年、日本でも導入する企業が増えており、注目が集まっています。
OKRの主な特徴としては、従来の手法に比べて設定した目標に対して高い頻度で追跡、再評価をする点にあり、結果としてすべての従業員が会社の目標に明確につながる目標を持って業務にあたるようになり、一定のペースで計画を遂行していくことが可能となります。
OKRのO、「Objectives」とは組織が達成を目指す目標のことで、Key Results(カギとなる主要な成果)とは、Objectivesの進捗のための具体的な指標のことを指します。高すぎる目標ではなく、「ベストを尽くせば達成できそう」というレベルが望ましいとされています。
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OKR実施のメリット
OKRを全社で実施するメリットは、概ね以下の3点です。
- 企業全体と社員の目標の一致
- タスクの優先順位の明確化
- 高めの目標設定が可能
企業全体と社員の目標の一致
OKRは、まず会社組織全体として達成すべきゴールが明確化され、その下に部署やチーム、個人の目標と成果が紐づく形で成り立っています。つまり、企業全体の中の自分の立ち位置や目標が明確化されると同時に、互いの目標を共有することが可能になります。それによって、個人間、チーム間での業務における連携やサポートもお互いにやりやすくなり、それぞれの社員が企業全体の目標達成に向けた動きを取りやすくなるのです。
タスクの優先順位の明確化
また、各チームや個人の目標と成果が明確になることで、目標を達成するために必要なタスク(=課せられた職務、仕事)が定められます。すべての仕事を同列に着手し、進捗させることはできません。どうしても優先順位を付けて着手し進捗を図ることになりますが、OKRを実施することでどのタスクを優先すべきかが明確になり、目標達成のために効率的に行動することが可能になります。
高めの目標設定が可能
目標は、そのレベルをどの程度高く設定するのかが課題です。高すぎる目標を設定した場合、返って「完璧にクリアできなくてもよい」という認識が生まれ、パフォーマンスを下げることにもつながりかねません。
OKRを導入した場合、全社で目標を共有するため、個人の目標達成が企業全体への貢献として実感しやすくなり、より高いレベルで目標に集中できるようになります。また、人事評価と切り離されていることで、目標に果敢に挑戦しやすくなるのです。
OKRの運用方法
では、次にOKRの具体的な運用方法を見ていきましょう。
- Objectiveの設定
- Key Resultの設定
- OKRの公開と調整
- チェックイン(ミーティング)の実施
- 全体レビュー
運用の手順は上記の流れになります。以下でそれぞれのポイントを見ていきましょう。
Objectivesの設定
Objectivesは達成を目指す目標のことで、企業全体の目標から部門やチームの目標まで細分化した上で、個人の目標設定をします。その際のポイントは以下の通りです。
- 定性的な目標であること
=数字では表せない「質」に関する要素を表すのが定性指標です。定性的にとらえることで目的や関係性、本質的な意味などを明確にしやすくなります。 - 達成期間を1~4ヶ月と想定してチャレンジできるもの
=短期間でレビューをし、目標の見直しや評価をすることが前提です。 - 簡単すぎず、挑戦しがいのあるレベル
=「絶対無理」な目標ではなく、頑張れば達成可能、と思えるレベルが望ましいです。
目標の具体例としては、「市場における自社商品の高い商品価値を証明する」や「メディア露出増による顧客拡大とブランディングに貢献する」などといったものが挙げられます。定性的なものでありながらも、なるべく具体的で、より高みを目指すものを設定します。
Key Resultの設定
先の目標に対しての主要な結果がKR(Key Result)なので、目標達成を推進するための具体的な指標となるものを設定します。その際のポイントは以下の通りです。
- 定量的な指標であること
=定性的なObjectivesに対して、KRは定量的に測れることが重要です。 - 設定するKRは1つのObjectivesに対して2~5つ
=基本的に、1つのObjectivesに対して多すぎるKRはかえってマイナス面が大きいた
め、3つ程度にしておきましょう。 - 難しいけれど絶対無理、ではない難度
=達成の可能性が半分くらいある、というくらいの難易度で、「ベストを尽くして頑張れば達成できる」というモチベーションが保てるKRが望ましいです。
OKRの公開と調整
OKRは企業全体と部門やチーム、個人の目標が連動しており、相互の立ち位置や貢献度が目に見えることが重要なので、全員がすべての目標を知り、共有しなければ意味がありません。そのためには事前の面談や調整など、しっかりと部門やチームごと、上司と部下等でディスカッションすることが必要です。全員が企業の目標達成に連動し、チームや個人の目標に向けてモチベーション高く効率よく取り組めるよう、調整を図りましょう。
チェックインの実施
OKRの進捗具合を検証するために集うのがチェックインミーティング。部門ごとやチームごとにOKRの進捗や達成見通しの程度、修正の必要の有無などを確認し、目標達成のために協力できそうな点についても話し合います。
これは、1回1回を1時間程度の短いミーティングとして、週に1度くらい頻度高く行うことがポイントです。都度、新たに分かったことをベースに、現状の達成度や方向性を明確にして、課題が出てくればその具体的な解決策を探ります。
全体レビュー
チェックインミーティングでOKRの進捗を図り、その成果を測るのがレビューです。その頻度は他の目標管理手法とは異なり1~4カ月に1度という短期で行うことがポイントで、年度の中でも細かい軌道修正が可能となります。また、測定方法についても、KRが定量的であるため明確です。
OKRでは、60~70%程度の達成度が期待値となっているため、毎回100%達成できるような目標は逆に目標の難易度に問題あり、ということになります。
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OKR運用のポイント・注意点
せっかくOKRを導入しても、運用で失敗する事例もあります。そこで、運用上のポイント、注意点を押さえておきましょう。
- 達成度のスコアリング
- 低い目標は設定しない
- 目標を途中で変更しない
- OKRと社員の評価は分けて考える
重要な上記の4点を順に説明していきます。
達成度のスコアリング
1つのO(目標)に対してあらかじめ設定した3つ程度のKR(重要な成果)に基づき、それぞれを0.0~1.0、または%で達成度を採点します。それらKRの平均した値がOの達成度となります。つまり、Oに対するKRが正しく定量的であることが明確なスコアリングにつながります。
低い目標は設定しない
2つ目のポイントは、低いO(目標)を設定しないことです。OKRの成功事例として知られるGoogle社では、「ストレッチゴール」と呼ばれる高い目標の設定を推奨しています。100%達成できる目標を達成しても現状に大きな変化は生まれないため、あえて70%程度の達成が成功ラインという考え方を明示し、挑戦的な企業体質を形成しています。
目標を途中で変更しない
設定した期間の途中でO(目標)を変更するということは、スタートした後からゴールを変えてしまうことに等しく、自分がどこに向かって走っているのかわからなくなってしまいます。当然、組織に対する不信感やモチベーションの低下に直結してしまいますので、期の途中でのOの変更は、絶対に避けましょう。
OKRと社員の評価は分けて考える
目標の達成を報酬や人事評価と結びつけてしまうと、目標自体が低く設定される可能性が高まります。評価を上げるために低い目標しか設定しないという文化が定着することは、企業の業績まで低迷させてしまいかねません。OKRは企業の成長を図るためのものだからこそ、大きな目標に向かって、全員で大胆に挑戦できる仕組みが重要なのです。
OKR・KPI・MBOの違い
OKRが日本国内でも注目されるようになるまでは、一般的にKPI(=Key Performance Indicator)とMBO(Management By Objective)が企業における目標管理手法として知られていました。それぞれどのような特徴があるのか、OKRとの違いを見ていきましょう。
KPIとは
KPIは「重要業績評価指標」という言葉を略したもので、最終目標を達成するための経過目標を管理するための手法です。最終目標に対してマイルストーンを設定し、それが確実に実行されているかをチェックします。
つまり、目標に対する進捗度を測るための指標であり、OKRのように目標達成のための「プロセス」に重きが置かれたものではありません。
MBOとは
MBOは「目標管理」の略称で、OKRともKPIとも性質が異なり、社員を評価することを主目的とした人事管理のための手法です。経営学者として有名なピーター・ドラッカー氏が20世紀半ばに提唱したもので、基本的に1年に1度、業績を分析し評価することに使われます。
OKRのように目標に対して60~70%の成果期待ではなく、100%以上の成果が期待され、それが報酬や評価に結び付けられることになります。
それぞれの違い
これらの手法はそれぞれ主要目的が異なり、どれが最も優れている、ということは一概にはいえません。各メソッドの特徴を理解し、自社の状況に合わせて選択することも大切です。
特徴の違いとしては、OKRが企業全体と個人の行動がリンクすることで、全社が一丸となって目標達成に向かえる、というメリットがありますが、従業員が少数のため1人でいくつものタスクを抱えるような環境には適さない面もあります。そうした場合には、目標達成のタスクを自分で設定するセルフマネジメント型のMBOを活用するのも良いかもしれません。また、KPIはPDCAサイクルの促進には効果的というメリットもあります。
関連記事:KGI・KPIとは? 違いや関係性・適切な設定方法と具体例
まとめ
米国シリコンバレーで生まれた目標管理手法OKRは、変化が早い今の時代に合った、優れた特性を持つ管理手法のひとつです。しかし、企業のサイズ、業種などによって、最適な管理手法は違うということもまた事実です。本記事が、自社に最適な目標管理手法を検討する一助となれば幸いです。
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