投稿日:2019.12.10 / 更新日:2024.2.5

チャットボットの仕組みとは?種類・会話ロジックに応じた導入のポイント

企業の業務効率化や人件費削減施策のひとつとして、近年チャットボットが注目されています。AI(人工知能)の発達も後押しし、ますます人間らしいコミュニケーションが可能となってきているチャットボットですが、その種類にはさまざまなものがあります。自社の業務に対して、どのようなタイプのサービスを導入すれば良いのでしょうか? チャットボットの仕組みや種類、企業への具体的な導入事例から見ていきましょう。

▼サービスをお探しの方はこちらをクリック▼

チャットボットとは

チャットボット(Chatbot)とは、テキストや音声を使って会話を自動的に行ってくれる「自動会話プログラム」のことを指します。「会話(Chat)」と「ロボット(robot)を組み合わせてできた言葉です。

人間と会話しているかのように必要な情報をやり取りできると注目度は高まっており、LINEやSlackなどのコミュニケーションツールを介してチャットボットを使用するサービスも増えてきています。

CVRが2倍向上するチャットボット!

チャットボットが会話しているように見える仕組み

チャットボットは主に「アプリケーション」と「ボット」という2つのシステムを、APIで連携させることで動いています。ボットがユーザーの問いを解釈し、返答を生成して、API経由でアプリケーションに表示することで、まるで会話をしているかのような受け答えになるのです。ユーザーの問いかけを解析するためにAI(人工知能)を搭載している場合もあります。

チャットボットの仕組み

チャットボットがまるで「会話」をしているかのように見える仕組みには、主に「キーワード分析」「ルール・シナリオ」「データベース」の3つの要素が関係しています。

キーワード分析

会話を展開しているように見える仕組みのひとつ目は、ユーザーが問いかけるメッセージのキーワード分析にあります。チャットボットは、ユーザーの問いかけの中から重要なキーワードは何かを分析します。この分析の精度が高まることで、チャットボットはより最適な返答を抽出し、まるで人間と会話しているかのような仕組みが成り立つのです。

チャットボットの種類によっては、キーワード分析にAI(人工知能)を使っている場合があります。搭載されたAIにより、ユーザーとの会話の中でキーワード分析について学習を繰り返し、ユーザーが求めている情報をより正確に判断できるようになっていくのです。

ルール・シナリオ

ふたつ目はチャットボットが動作するルールやシナリオを、運用側が規定していることです。例えば、「Aという行動にはBという返答をする」といったシンプルなルールです。これら1つ1つのルールはシンプルであっても、それを大量に準備しておくことで、ユーザーからの複雑な問いかけに対しても最適な回答をすることが可能になります。

また、キーワード分析と同様に、AIの自動学習機能によって、ユーザーの会話や返答を通じてルールやシナリオを追加していくことができます。ルールやシナリオが追加されていくにつれ、より精度の高いやりとりができるようになっていくのです。

関連記事:シナリオの「出し分け」と「分岐」の違い

ログをためたデータベース

3つ目は、運用側がデータベースを充実させていることです。チャットボットは基本的に自分自身で思考・発想し、会話を組み立てて返答をする能力はありません。運用側がデータベースをあらかじめ用意、充実させることで、その中から返答を選び出してユーザーにとって適した返答を行っているのです。データベースをより充実させることができれば、チャットボットの精度を高めることができます。

これもAIが搭載されているチャットボットであれば、ユーザーとの会話ログをAIがデータベース化して構築していくことにつれ、ユーザーが知りたい情報に対して、より正確な返答を行うことが可能となります。

▼CVRが2倍増える!コンバージョンチャットボット▼

チャットボットの種類と導入に向いている企業

チャットボットの種類と導入に向いている企業

チャットボットは、その仕組みから4つの種類に分類されます。

  •  辞書タイプ
    あらかじめ登録する特定の単語を元に会話を行う
  • 選択肢タイプ
    回答が用意されており、それを選択して会話をする
  • ログタイプ
    会話ログを蓄積・利用して、似た文脈に返答をする
  • Elizaタイプ
    主に聞き役として相槌し、言葉を要約して聞き返し、会話する

辞書タイプ

あらかじめ辞書に登録された単語やテンプレートを元に会話をするタイプのチャットボットです。登録する単語は1つでも複数でも構いません。

メリットは、ユーザーが問いかけた会話に含まれるキーワードと返答が合致することで、正確な情報収集につなげられる点です。デメリットは、あらかじめ登録されている単語やテンプレートでの返答しかできないため、ユーザーの問いかけにスムーズに回答するには、膨大な数の単語とテンプレートが担保された辞書を作成しなければなりません。

このチャットボット導入に向いているのは、顧客からの問い合わせ内容や問い合わせに含まれるキーワードがある程度想定できるサービスを取り扱っている企業です。例えば、ECサイトなどにおける注文方法や注文後の変更方法、領収書の発行、配送料の見積もりなどが考えられます。

選択肢タイプ

あらかじめ用意されている回答を選択しながら会話を進めていくタイプです。「Aという選択にはBと返答をする」と運用側が設定しておくことで、会話を進めていきます。

メリットは、回答を選択しながら会話をスムーズに進められることで、ユーザーの「自ら選択した」という満足度を高められる点です。デメリットは決まったシナリオでの会話しかできないため、多くの選択肢とシナリオを用意する必要があります。また、シナリオにない質問は別途問い合わせをしなければなりません。

このチャットボットの導入に向いているのは、顧客の情報を聞き出して、適したサービスを提案・提供している企業です。例えば銀行や生命保険会社などで生年月日、性別など決まった情報を入力し、その内容から月額保険料やおすすめ商品を紹介することで、顧客獲得に役立てられます。

ログタイプ

過去の会話ログを蓄積してデータベース化し、似たような文脈の会話にスムーズに返答するタイプのチャットボットです。

メリットは、ログタイプにAIを用いることによって、会話の精度を高められる点です。例えば、「Aという問いかけにはBと返答するパターンが多い」というようにAIが過去の会話ログを解析することにより、より自然な会話が可能となります。デメリットは、会話ログが少ないうちは会話の精度が低いため、あらかじめある程度のログやデータベースを用意しておく必要があることです。

このチャットボット導入に向いているのは、多くの顧客からのさまざまな問い合わせが予想されるサービスを提供している企業です。例えばホテルの宿泊予約や航空会社のチケット予約などが挙げられます。

Elizaタイプ

1966年に世界で最初に開発されたとされる自動会話システム「Eliza(イライザ)」から名付けられたタイプのチャットボットです。ユーザーの問いかけに対して、主に聞き役として相槌や言葉を要約して聞き返し会話をします。

特徴は聞き役に徹することが基本だという点ですが、現在はAIの利用により、従来の聞き役としての役割のほかに質問をすることも可能になってきたため、使い勝手の幅が広がってきている点がメリットといえます。より人間らしい会話ができるようになってきているのです。

このチャットボット導入に向いているのは、その特徴である「聞き役」として相槌や会話の要約をするサービスを提供している企業です。例えば恋愛や結婚相談サイトやコミュニケーションサイトに利用されています。

チャットボットの導入成功企業事例

実際にチャットボットを導入し、成功した企業の事例を4社紹介していきます。各企業とも、辞書タイプ、選択肢タイプ、ログタイプ、Elizaタイプそれぞれの特徴を生かしてチャットボットの導入を成功させています。

辞書タイプ:LOHACO by ASKUL (ロハコ)

個人向け通販サイト「LOHACO」に導入されたチャットボットは、カスタマーサポートを効率化し、携わる人員の削減を目標としました。

2012年にサービス開始したLOHACOは、増加する問い合わせへの対応策として2014年にチャットボットを設置、さらにチャットボットをキャラクタライズし親しみを持たせたことで、チャットボットへの問い合わせ・利用者数が急増しました。

24時間365日稼働するチャットボットのおかげで、2016年5月には全問い合わせの3分の1にチャットボットが対応するようになりました。

選択肢タイプ:株式会社RAVIPA

エイジングケア美容液「アスハダ」や女性用育毛剤「薬用ヘアモア」を販売する株式会社RAVIPAが自社のECサイトに導入したのが「qualva(クオルバ)」です。導入前も高かったコンバージョン率(8%)をさらに向上させることが目的でした。

選択肢タイプのqualvaは対話形式でシナリオが進むため、ターゲットユーザーである年配女性の入力ストレスが減ること、さらにqualvaが唯一の決済機能付きのチャットボットだという点がコンバージョン率向上の決め手となりました。また、問い合わせが多い質問や、ユーザーがわかりづらい内容についてはすぐにqualvaのシナリオに反映していきました。

qualvaを導入した結果、購買意欲の高いユーザーをそのまま申し込みフォームへと誘導することができるようになり、導入後1週間でコンバージョン率は従来の8%から12%まで上昇。サイトからの離脱率も約3分の1に減少しました。

CVRが2倍向上するチャットボット!

ログタイプ:株式会社サイバーコミュニケーションズ

管理部門にチャットボットを導入したのがWeb広告の企画・運営を行なっている株式会社サイバーコミュニケーションズです。新卒の採用活動が活発化すると繁忙期となる人事部の負担軽減を目的として、自社採用サイトのFAQページに、就活生からの問い合わせ対応としてチャットボットを導入しました。

この導入には2つのメリットがありました。当初の目的であった人事部の繁忙期の負担軽減に成功したこと。また、就活生が面と向かって聞きづらい年収などの質問が多く寄せられ、新卒の本音を採用活動に活かすことができるようになったことです。

Elizaタイプ:ミューコネクト株式会社

日本初の腐女子・オタク専門の結婚相談所「ミューコネクト」が、婚活に関する基本的な相談内容をデータ化して、24時間いつでもLINEを使って相談可能なチャットボットを導入しました。

従来はユーザーの婚活相談にエージェントが30分以上の時間をかけて対応していましたが、チャットボット導入により、相談時間は大幅に短縮。エージェントの負担軽減や労働時間が改善されるとともに、ユーザーもエージェントに伝えづらい問題を気軽に相談できるようになったのです。対人コミュニケーションが苦手な人に対する導入訓練としても活用されています。

まとめ

チャットボットは、ユーザーからの問い合わせに自動で対応することで、企業の業務効率化や人件費削減に貢献できます。導入を成功させるには、自社のどのような業務を担わせるのかを明確にし、またどのタイプのチャットボットの利用が適しているのかを事前に把握する必要があります。「自社のこの業務をチャットボットに対応させたい」と考える担当者様は、チャットボットの会話の仕組みに応じた最適なサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

コンバージョン率が上がるチャットボットqualva(クオルバ)

ぜひチェックしてください。