投稿日:2020.1.7 / 更新日:2024.2.5

リードナーチャリングとは?マーケティングにおける見込み客の育成方法

マーケティング活動を自動化し、業務効率化を図るための仕組みであるマーケティングオートメーションは、現在多くの企業に導入されています。

マーケティングオートメーションにはさまざまな施策がありますが、見込み客に対して自社製品への関心を促すためのプロモーションである「リードナーチャリング」は、特によく知られ、広く用いられている手法です。

リードナーチャリングとはどのような活動を指すのか、そのメリットや施策のプロセスなどについて解説します。

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リードナーチャリングとは

リードナーチャリングとは、見込み客(=リード)がまだ購入を迷っているタイミングに、定期的なコンタクトを取り続けることで、購買のきっかけを生み出す施策のことです。ナーチャリングとは「育てる」という意味で、他社の製品やサービスに流れそうな見込み客の関心を、再びこちらに向けることが目的となります。まさに見込み客を「育成して」、実際に製品を買ってくれる顧客に「育て上げる」ということで、ぴったりの名称でしょう。

リードナーチャリングの手法について、販売活動を例に具体的に見てみましょう。

  • 過去に商品にいいね!をつけたユーザーに向け、適切な時期にメルマガを配信する
  • リード顧客がサイトを訪問したら、過去の購買履歴に合わせてリターゲティング広告を表示させる

これら、さまざまな種類のものがあります。

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リードナーチャリングのメリット

リードナーチャリングの導入で、次の3つのメリットを得ることができます。

  • 見込み客が競合へ流れないよう防止できる
  • すでに取得している情報を活かし集客コストを削減できる
  • 購入プロセスの長期化に対応できる

インターネットが普及した現在は、顧客が欲しい製品やサービスの情報を自ら「探しに行ける」時代です。リードナーチャリングを取り入れなけば、 見込み客はあっという間に他社製品に目移りしてしまいます。

リードナーチャリング導入のメリットについて、それぞれ以下に詳しく解説します。

見込み客が競合へ流れないよう防止できる

一般的に、最初の行動で購入に至る顧客はわずか20~25%とされています。つまり75%もの人がその場では購入せず、リード顧客になっていると想定されるのです。そのリード顧客層に対するアプローチ=リードナーチャリングを止めてしまうと、80%が2年以内に他社製品等を購入するなど、流出するケースが多く見られます。

リードナーチャリングは、リード層を自社の顧客としてつなぎとめられるだけでなく、ライバル社の売り上げ阻止にもつながります。なかなか購入に至らないからといって、リードナーチャリングを中断してしまうのがいかに大きな機会損失になるかがわかります。

すでにある情報を活かし集客コストを削減できる

リードナーチャリングのメリットには、すでにある顧客データを活用するため、コスト面で負担が少ないことも挙げられます。

普通の顧客アプローチの場合、まず顧客データを集めることからはじめなければならず、データ収集費が膨大になります。顧客データが欲しいがゆえにイベントやセミナーを開催すれば、その費用はさらにかさみます。データを集める手間とコストを削減できるリードナーチャリングは、エコなアプローチ方法といえるでしょう。

購入プロセスの長期化に対応できる

BtoBの商取引では、BtoCに比べて購入までのプロセスが長いため、成約に至るまでに競合他社へ関心が移ったり、顧客側での状況が変化したりと一筋縄ではいきません。リードナーチャリングを実行すれば、最初の商談から成約まで、長期間にわたって丁寧にフォローでき、顧客との信頼関係の構築につながります。

たとえその場では購入・契約にまで到達しなくても、一度築いた信頼関係はのちの商談の下地となり、近い将来の成約へと発展していく可能性があります。

関連記事:マーケティングオートメーションとは?導入メリットと成功事例

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リードナーチャリングのプロセス

リードナーチャリングのプロセス

リードナーチャリングのプロセスには、以下の5つの工程があります。

  1. リードの情報をまとめる
  2. リードの購買行動を分析し施策案を出す
  3. リードの購買意識をランク分けする
  4. リードのランクに合わせたアプローチをする
  5. 購買が近づいたら営業と連携し契約へ

リードの情報をまとめる

最初のステップは、リードの情報を収集してまとめることです。

リード顧客は、興味はあるものの一度も購入・成約に至ったことがない顧客と、過去に取引がある既存顧客の2種類に分けられます。既存顧客は購入履歴などから求める製品やサービスの傾向がわかりますが、未成約の顧客の場合はほとんど情報がありません。相手が何を求めて購入を検討しており、どんな課題を解決したがっているのか、丁寧にヒアリングしましょう。

自社サイトへの訪問回数や、資料請求、ホワイトペーパーのダウンロード履歴なども参考になりますので、合わせてデータとしてまとめてください。

リードの購買行動を分析し施策案を出す

次に、リード顧客の購買行動を分析し、どのようなフェーズで購入に至ったのかを分析します。顧客の購入経路を把握することで、どんなアプローチが最も効果的なのかがわかり、スムーズなリードナーチャリングを実行できます。

たとえば、メルマガからの誘導によって購入することが多い顧客であれば、メルマガの配信回数を増やしたり、セミナーへの参加率が高ければ積極的に招待メールを送るなど、接触手段を柔軟にコントロールすることができます。

リードの購買意識をランク分けする

リード顧客の情報が整理できたら、実際に成約が期待できそうかどうか、過去の購買行動を基にランク分けしていきましょう。成約への期待度は、過去の資料請求の有無やメルマガ登録の時期などから、傾向をベースに把握することができます。

アンケートなどで直接聞くという方法もありますが、この段階での押しの強いアプローチは、顧客に拒否感を抱かせるリスクもありますので、慎重に進めてください。このランク分けは、リードナーチャリングのキーとなる工程ですので、リード顧客の「見込みの確度」を正確に見極めるようにしてください。

リードのランクに合わせたアプローチをする

適正なランク分けが完了した後は、それぞれの顧客に合ったアプローチを開始します。アプローチ方法は事前に条件やストーリーを決めておくと便利です。たとえば「メルマガを登録してくれたらセミナーに誘導する」といったように、ある行動に至ったら次に移るというスモールステップ方式が有効です。

また、リードナーチャリングに対して無反応・無関心な顧客をあまり追いかけても、かえって逆効果になりかねないので、どこで手を引くのか、撤退ポイントを決めておくのもいいでしょう。

購買が近づいたら営業と連携し契約へ

アプローチに成功し、いよいよ購買へ至る一歩手前まで来たら、営業・セールス担当者に顧客の情報を伝え、スムーズな契約につなげられるようしっかり社内連携を取りましょう。また、成約に至ってもそこで終わりにはせず、一連のリードナーチャリング行動を観察することで次への課題を見つけ、忘れないうちにブリーフィングしておけば今後もさまざまな顧客と太いパイプでつながることができます。

もちろん顧客へのフォローアップも確実に行い、購入後も有益な情報を提供していくことが大切です。

リードナーチャリングの5つの施策

リードナーチャリングのの施策

リードナーチャリングの施策代表的なものとして、次の5つが挙げられます。

  • インサイドセールス
  • メールマガジン
  • セミナー
  • SNS
  • リターゲティング広告

インサイドセールス

顧客と直接顔を合わさず、電話やメールを用いてアプローチする営業手法がインサイドセールスです。リード顧客の状況や潜在ニーズに合わせて、電話やメール、DMなどさまざまな方法でアプローチし、成約の可能性が高まった時点で営業部門へと引き継ぎます。

インサイドセールスによって、営業部門は電話でのアポ獲得や見込みの薄い商談などを行わなくてもよくなり、営業効率が高まり成約率・売上アップにつながっていきます。

メールマガジン

企業から顧客へのコミュニケーション手段として、メールは最も基本的な手法です。季節やイベントなどに合わせて、リード顧客の状況にふさわしいメールを配信したり、興味のある製品やサービス、関連記事などを文面に挿入したりと、きめ細かい情報提供ができます。

一方、一斉配信のメールは受け取り手にとっては魅力に欠け煩わしい場合もあるので、先方の温度感に応じて個別でメールを送るなどのダイレクトコミュニケーションも有効です。

セミナー

リード顧客が抱えている課題や、興味・関心があると思われるテーマのうち、自社の商材と合致するものがあれば、セミナー開催も有効なアプローチ手段となります。わざわざセミナーに参加してくれるということは、相当にリードランクの高い顧客である現れです。

自社が有するノウハウを、確度の高い顧客に向けて直接伝えることで、強い購買訴求につなげられるでしょう。

SNS

TwitterやFacebookなどのSNSを使って、リード顧客とゆるくつながることも、リードナーチャリングの一つとされています。製品のブランディングやPRが主な目的となり、たとえば自社CMの動画を、CMに出演した有名タレントの名前をハッシュタグをつけて拡散することで、タレントのファン層とつながることができるのです。タレントの知名度を利用して、自社製品の存在を知らしめる有効な手段といえるでしょう。

リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、過去に自社サイトへの訪問履歴がある顧客に絞ってターゲティングできる広告手法のことです。自社の商品にすでに関心がある層をターゲットにして広告を配信することで、成約確率が高い顧客にピンポイントにアプローチできます。
Web広告の王道としてさまざまな会社がサービスを提供しており、Yahoo!が提供する「サイトリターゲティング」、Googleが提供する「リマーケティング」と呼ばれるものが代表的です。

関連記事:リターゲティング広告の仕組みとメリット・デメリット 

リードナーチャリングの成功事例

国内外を問わず、自社に合った手法を取り入れて、リードナーチャリングを成功させている企業が多数存在します。企業におけるリードナーチャリングの成功事例、その手法と成果を具体的に見ていきましょう。

日本電気株式会社/NEC(日本)

リードナーチャリングに用いた手法:

  • 自社サイトの会員情報から、製造業に携わるリード顧客を選別
  • リード顧客に対してメールを送付し、開封状況やサイト上での行動を計測
  • メールに対し反応がよかった顧客を洗い出し、電話等で直接アプローチ

得られた効果、成功ポイントなど:

  • 自社製品の認知拡大
  • 売り上げに直接つながる顧客層が増大

Templafy(デンマーク)

リードナーチャリングに用いた手法:

  • 自社サイト上で特定のコンテンツをダウンロードした直後に、関連する内容のメールを送付
  • 営業によるデモンストレーション動画をクリックした顧客のみを、商談の予約アプリに誘導

得られた効果、成功ポイントなど:

  • リードナーチャリング導入から1年で収益が3倍に
  • クロージング時点でのトライアル・デモンストレーションへの申し込みが10~24%と高確率

Oktopost(イスラエル)

リードナーチャリングに用いた手法:

  • 無料版の製品の使用状況によって顧客をグループ化し、それぞれに応じたメッセージを送付
  • 過去の問い合わせ件数や資料ダウンロードの有無など、リード顧客の関心度の高さによってメール・電話といったアプローチ方法を使い分ける
  • リターゲティング広告を打つことで、自社製品が常にリード顧客の目に留まるよう印象を残す

得られた効果、成功ポイントなど:

  • メールを通じた申し込みが急増し、売上230%増を達成
  • リターゲティング広告によるアプローチで、リード顧客を「実売」へと誘導

まとめ

オフィシャルサイトへの訪問やメルマガへの登録など、自社の製品・サービスへの興味関心を持ってくれている「リード顧客」。潜在的に成約に至る可能性を秘めており、的確なアプローチによって上位顧客となる可能性も少なくありません。

リードナーチャリングは、こうした層を確実に取り込むための有効な施策です。効率の良いマーケティング施策を検討中の方は、ぜひ実施してみてください。

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