投稿日:2020.1.21 / 更新日:2024.3.11

チャットボットのシナリオとは|作り方のコツと押さえるべき留意点

「チャットボットのシナリオってどんなもの?」「作り方のコツを教えて欲しい」などと考えていませんか。詳細がわからず困っている方は多いでしょう。簡単に説明すると、一部のチャットボットで設定する会話の流れといえるでしょう。

ここでは、チャットボットのシナリオについて解説するとともにその作り方や留意点などを紹介しています。シナリオについて理解を深めたい方は参考にしてください。

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チャットボットとは?

AI搭載型チャットボット

チャットボットは、テキストなどを用いてユーザーからの問い合わせに自動で対応するプログラムです。日本語で「おしゃべり」などを意味する「chat」と決められたタスクを自動で処理するプログラム「bot」を組み合わせてチャットボットと呼ばれています。

チャットボットは、特徴や仕組みでいくつかの種類にわかれます。主なものは以下の3種類です。

【種類】

  • シナリオ型
  • AI搭載型
  • 複合型

これらについて詳しく解説します。

シナリオ型

あらかじめ設定したシナリオ(ルール)に基づき、ユーザーに選択肢を提示するタイプです。ユーザーに選択肢を選ばせて絞り込みを行い最終的な回答へ導きます。シナリオに従い会話を進めていく点がポイントです。したがって、このタイプではシナリオの設計が欠かせません。

主な強みは、ユーザーに選択肢を選んでもらうだけで最終的な回答へ導けることです。ユーザーの手間を軽減しやすい傾向があります。よくある質問に対する回答などで多く用いられています。質問の内容が、ある程度、決まっている場合は、費用を抑えつつ簡単に構築できる点も魅力です。

ただし、シナリオに従い対応するため、想定外の質問には答えられません。会話をしながら複雑な質問に答えるなどの対応も苦手です。回答の精度は、事前に設定するシナリオから大きな影響を受けます。

AI搭載型

AI搭載型は、既存のデータをAIが解析して適切な回答を提示するタイプです。ここでいう既存のデータの例として対話ログがあげられます。主な特徴は、自然な会話で質問に回答できることです。ユーザーはチャットボットに対して自由に質問できます。

以上の特徴を生かし、AI搭載型は主にカスタマーサポートなどで活用されています。ただし、その精度は蓄積されたデータから大きな影響を受けます。データをもとに回答を導き出すため、十分なデータを用意していないと適切な回答を提示できません。したがって、導入にあたり膨大なデータが必要になります。

誤ったデータを排除しなければならない点にも注意が必要です。AI搭載型は、シナリオ型に比べて手間とコストがかかる傾向があります。また、現状では複雑な質問に対する回答を苦手としています。個別の対応を求められる質問も同様です。一般的なイメージと異なり「AI搭載型=万能」というわけではありません。

複合型

シナリオ型とAI搭載型を組み合わせたタイプです。ユーザーの質問に対して、まずは設定されているシナリオに基づき対応します。シナリオから外れると判断した場合は、AIが質問の意図などを分析して適切な回答の提示を試みます。想定範囲内のシナリオ型、想定範囲外の質問はAI搭載型が対応すると考えればよいでしょう。

複合型の強みは、AI搭載型へ引き継げるため複雑なシナリオを必要としないことです。この点は魅力ですが、AIの学習データを用意しなければなりません。また、回答の精度を高めるためAIの調整も必要になります。ユーザーの質問によっては、AIより人間に引き継ぐほうがよいケースがある点もポイントです。

柔軟な対応を期待できますが、複合型であってもオペレーターが不要になるわけではありません。

チャットボットにおけるシナリオとは?

チャットボットが用いる「シナリオ」とはどのようなものなのでしょうか。簡単に説明すると、ユーザーが求める最終的な回答へ導くためのフローチャートといえるでしょう。会話の流れを示した案内図と言い換えることもできます。したがって、シナリオの質が低いと、ユーザーは求めている情報にたどり着けません。

手間をかけたにもかかわらず求めている情報を得られないとユーザーはがっかりするでしょう。サービスに対する信頼を失って、離脱を招いてしまう恐れがあります。シナリオは、チャットボットにとって非常に重要な要素です。

ユーザーに選択肢を選ばせて会話を展開するシナリオ型で主に用いられています。

シナリオ型のチャットボットが向いている場面とは?

チャットボットの種類により向いている場面は異なります。ルールに従い対応するからといって、シナリオ型が他の種類に比べて劣るわけではありません。シナリオ型は、定型的な質問に回答することとある事柄を深く掘り下げることを得意としています。したがって、よく似た質問が多く寄せられるECサイトなどに向いています。

代表的な質問例としてあげられるのが「マイページにログインできない」「入力フォームでエラーが発生する」「送料を教えてほしい」「支払い方法を教えてほしい」などです。質の高いシナリオを用意できれば、限られた範囲の質問に対して高い確率で正確に回答できます。

活用方法次第では、カスタマーサポートなどの負担を大幅に軽減できるでしょう。

シナリオの作成方法と設計のコツ

シナリオの作成方法と設計のコツ

シナリオの設計にはいくつかのコツがあります。ここからは設計のコツを紹介します。

導入目的を明確にする

設計に着手する前に、チャットボットの目的を明らかにします。目的により、制作するべきシナリオの内容やチャットボットに対応させる業務の範囲は異なるためです。

想定される主な目的として、カスタマーサポート業務の効率化、顧客満足度の向上、CVRの向上などがあげられます。顧客満足度の向上とCVRの向上で、作成するべきシナリオの内容は異なるでしょう。全体の方向性を決定するため、まずは目的を明らかにするのです。

また、目的が明らかになると、チャットボットに必要な機能などもわかります。例えば、CVRの向上を目的とする場合、ユーザーの行動を分析する機能が必要になるかもしれません。具体的な行動を起こす前に導入目的をよく考えましょう。

ペルソナを設定する

目的を明らかにしてから、チャットボットの理想的なユーザー(ペルソナ)を設定します。ここでいう理想的なユーザーは、チャットボットの使用を想定している主なユーザーです。この作業により、チャットボットを使用する状況、想定される質問、目指すべき回答の範囲などが明らかになります。

ユーザーの設定方法はケースで異なりますが、以下の設定項目などが考えられます。

【設定項目】

  • 氏名
  • 年齢
  • 性別
  • 興味のあるジャンル
  • 現在の課題
  • 利用回数
  • 利用頻度

例えば、初めて利用するユーザーと何度も利用しているユーザーでは、シナリオの作り方が異なります。想定される質問や目指すべき回答の範囲などが異なるためです。ユーザーを正しく設定すると、使い勝手のよいチャットボットになります。

分岐の選択肢を多くしすぎない

ここまでの内容をもとに、想定される質問と回答を洗い出してシナリオを設計します。シナリオ設計のコツは、洗い出した質問をいくつかの大カテゴリに分類することです。ここから絞り込みを行い最終的な回答へ導きます。例えば、大カテゴリが「費用について」、中カテゴリが「送料について」、最終質問が「着払いの手数料について」のようなイメージです。

シナリオを設計するときは、選択肢の数に注意します。少なすぎるとユーザーが求めている情報にたどりません。多すぎると離脱を招いてしまいます。FAQがある場合は、こちらを参考にしても構いません。ただし、自然な会話に近づける調整は必要です。

質問は多くても5段階程度にする

前述の通り、選択肢を増やしすぎるとチャットボットの使い勝手は悪くなります。選択肢が増えると、ユーザーが悩みやすくなってしまうためです。

また、階層構造も深くなりがちです。知りたい情報にたどりつくため、ユーザーは何度も質問に答えなければなりません。情報の価値とかかる手間が釣り合っていないと、ユーザーの離脱を招いてしまうでしょう。

必ずしも求めている情報を得られるわけではない点にも注意が必要です。質問の内容によっては、最終的に適切な回答を提示できないことも考えられます。このようなケースは、チャットボットやサービスの信頼を失ってしまう恐れがあります。

以上を踏まえて、質問の数を検討しなければなりません。おおよその目安は、最大で5段階程度と考えられます。

チャットボットのシナリオを作成する際の注意点

続いて、作成時に注意したいポイントを解説します。

自然な流れになるようにする

選択肢の表現は、自然な会話を意識します。チャットボットと会話を重ねながら最終的な回答へ導くイメージです。選択肢の表現が堅苦しかったり冗長だったりすると離脱を招いてしまう恐れがあります。ユーザーの使い勝手を考えて、わかりやすい表現を心がけることが大切です。

実際の表現は、想定するユーザーなどをもとに検討します。親しみやすい表現がよいこともあれば、丁寧な表現がよいこともあるでしょう。すでに活用しているFAQを流用する場合は、前述の通り調整が必要になります。そのまま流用すると、会話形式にならないケースが多いためです。

会話デザインについては下記記事で解説しています。「どのように会話をデザインすればよいの?」などの疑問をお持ちの方はあわせてご覧ください。

定期的に修正やメンテナンスを行う

シナリオ型チャットボットは、運用開始後の定期的なメンテナンスが欠かせません。データを分析して、ユーザーが離脱している箇所、対応できていない質問などを確かめましょう。

これらの問題は、シナリオの修正や追加で対処できる可能性があります。定期的なメンテナンスを重ねながら、問題を解決してチャットボットの満足度を向上させることが大切です。導入すれば終わりではないことを理解しておきましょう。

シナリオ型チャットボットのメリット

シナリオ型チャットボットには、さまざまなメリットがあります。主なメリットは以下の通りです。

過去に受けた質問を利用できる

導入にあたりハードルになるのがシナリオの作成です。大変な作業に思えますが、ケースによっては簡単に作成できます。過去に受けた質問やよくある質問など、既存のデータベースを活用できるためです。

定型的な質問に対応したい場合は、過去に受けた質問などをシナリオに組み込んで簡単に実装できることがあります。対応できる範囲は限定されますが、用途によっては業務を大幅に効率化できるでしょう。既存のデータベースを有効活用できる点は魅力です。

誤回答がない

誤回答の恐れがない点も、シナリオ型チャットボットの強みとしてあげられます。あらかじめ設定したシナリオに沿って対応するため、シナリオに誤りがなければ回答にも誤りは生じません。設定次第では、勘違いや曖昧さを排除できます。特定の質問に対して、統一した回答を提示できる点は魅力です。

予想できる質問はシナリオ型チャットボット、予想できない質問はオペレーターが対応するなどの体制を構築すれば、質の高いサービスを提供できる可能性があります。

導入コストが低い

AI搭載型に比べて、導入コストを抑えやすい点も強みです。具体的な利用料金は製品で異なりますが、初期費用0円、月額1万円程度~利用できる製品もあります。導入コストを抑えられる主な理由は、機械学習などの手間がかからないからといえるでしょう。したがって、導入時の負担も少ない傾向があります。

コストを抑えつつ短期間で導入できる点は魅力です。予算を確保しにくい小規模な事業者であっても、シナリオ型チャットボットであれば利用できる可能性があります。

シナリオ型チャットボットのデメリット

当然ですが、気を付けたいデメリットもあります。主なデメリットは次のとおりです。

問い合わせの幅が限られる

あらかじめ設定したシナリオに沿って対応するため、対応できる問い合わせの幅は限られます。シナリオから外れる質問には回答はできません。もちろん、対応できる質問を増やすことはできますが、数が増えすぎるとユーザーの負担になってしまいます。

また、導入の手間もかかります。難しい質問への回答を苦手としていることにも注意が必要です。内容によっては、オペレーターの対応が必要になるでしょう。

以上からわかる通り、あらゆる質問に答えられるわけではありません。特徴を踏まえたうえで、適切に活用することが大切です。

シナリオ作成に手間がかかる

過去の質問やよくある質問などのデータベースがない場合、シナリオを1から設計しなければなりません。幅広い質問に対応したい、曖昧な質問に対応したいなどの希望がある場合は、作成に手間と時間がかかります。ケースによっては、導入まで時間がかかることもあるでしょう。

利用できるデータベースがある場合とない場合で、導入の手間は大きく変わる恐れがあります。AI搭載型に比べると負担は小さいと考えられていますが、必ずしも簡単に導入できるわけではありません。かかる手間はケースで異なることを理解しておく必要があります。

チャットボットのシナリオ設計後には効果検証が必要!

チャットボットの効果的な運用に欠かせないのが質の高いシナリオです。十分な注意を払って作成しても、狙い通りに機能する保証はありません。テンプレートを使用する場合も同様です。自社の環境にあわせて調整した結果、有効に機能しなくなることもあります。

以上の特徴があるため、シナリオの評価には運用開始後の効果検証が欠かせません。実際の利用データをもとに修正を重ねていきます。この作業を通して、シナリオの質は高まっていくのです。運用が始まると安心してしまいがちですが、ここからがスタートと考えて効果検証を行いましょう。データ分析に強みがある製品を選ぶと、効果検証を行いやすくなります。

シナリオはチャットボットの性能に関わる

ここでは、チャットボットのシナリオについて解説しました。シナリオは、シナリオ型で設定される会話の流れといえるでしょう。したがって、チャットボットの性能に大きな影響を与えます。作成にあたっては、目的やユーザー像を明確にしておくことが大切です。

また、定期的な効果検証と修正も欠かせません。この作業を繰り返すことで、チャットボットの品質は高まります。定型的な質問などに対応したい方は、シナリオ型チャットボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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