セグメンテーションとターゲティング・ポジショニングの違い~STP分析のポイント

WEBマーケティングやブランディング戦略を立てる上で、非常に重要なSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)。これらの言葉の意味を正しく理解できていない人も意外に多いようです。ニーズが多様化し刻々と変化する現代の市場において、限られたリソースを活かして最大の効果を生むマーケティング戦略を立案するために、今一度これらの用語を正しく理解し、STP分析を効果的に行うポイントをご紹介します。

目次

セグメンテーションとターゲティングとの違い

セグメンテーションとは、ひと言でいうと「市場や消費者をある塊に分類する」ことで、特定の基準(例えば性別、年代別など)によって市場を細分化することです。それに対してターゲティングとは、セグメンテーションで細分化した複数のセグメントの中から、標的とする顧客層を決めることを言います。

つまり、セグメンテーションは「分類する」ことで、ターゲティングは標的を「選ぶ」ことを意味します。思い込みや推測を排し、分析結果をベースに、冷静に自社商品に最適な戦略を構築することは非常に重要で、より高いマーケティング効果が期待できるようになります。

市場に効果的にアプローチするSTP分析とは

STP分析とは

マーケティング戦略でよく使われるSTP分析について、まずはその意味と期待されるメリットについて見ていきましょう。

企業がSTP分析を行うのは常ですが、その狙いは自社商品の市場価値を高めるためであり、日々変化する市場で競合他社との競争に勝ち抜くこと。そして独自性や優位性を探ることにも役立ちます。

STP分析を行うことで得られるメリットをまとめると、次の通りです。

●顧客ニーズの属性やボリュームを整理できる
・・・どのようなユーザーがどの市場にどの程度のボリュームで存在するか把握します。
●他社との競合を避けられる(自社が勝負すべきマーケットが定まる)
・・・競合他社を把握し、自社の勝負する場所を明確にします。
●プロモーション戦略が明確になる
・・・どんなユーザーに対してどういう位置づけから自社商品をアプローチするのかを具体化します。

セグメンテーションとは

セグメンテーションとは

先述の通り、セグメンテーションとは市場を細分化することであり、STPの最初のステップ。次のターゲティングで顧客を絞り込んで設定するためにも重要な作業です。その際の基準となる代表的な4つの軸が以下となります。

1地理的変数
2人口動態変数
3心理的変数)
4行動変数

1番目の地理的変数とは、国や市町村、人口、気候や文化など地理的な属性でセグメントすること。2番目の人口動態変数とは、顧客の年齢や性別、所得、学歴などの属性でセグメントすること。3番目の心理的変数とは、顧客の価値観やライフスタイル、購買心理などの属性でセグメントすること。4番目の行動変数とは、商品(サービス)を利用する目的や用途、利用頻度などの属性でセグメントすることです。

ターゲティングとは

ターゲティングとは

前述の通り、ターゲティングはセグメンテーションされた中から標的とする顧客層を選択し、どの顧客層にアプローチし、どの位置(ポジション)に商品を投入するかを明らかにするものです。それによって、限りあるリソースを効果的に活用し、プロモーション戦略を立てることができます。ターゲティングを効率よく行うために便利なのが、次の代表的な3つの手法です。

1無差別型
…セグメントされた各市場の違いに関係なく、全ての市場に同じ商品を提供するパターンです。一般的に大企業で幅広い層を狙う食品などに多くみられます。
2分化型
…セグメントされた市場ごとに、類似商品を機能や特性を変えて提供するパターンです。業界を越えて多くの企業が採用しています。
3集中型
…ごく限られた市場に集中して商品を提供するパターンです。高級ブランドやニッチ商品を扱う企業が多く採用しています。

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ポジショニングとは

ポジショニングとは、文字通り市場の中での自社の立ち位置を決めることです。ターゲティングされたセグメントの中の競合商品と比較する指標を明確化し、市場を分析します。ニーズはあるが既に大手企業が進出している、といった場合は、自社の強みで差別化ができるのかどうか、慎重に見極めることが必要です。価格や品質、販売チャネルなど指標自体も絞り込み、勝負可能な自社のポジションを探します。

ポジショニングの流れは以下となります。

1.商品・サービスカテゴリの設定
2.価値軸の創造
3.ポジショニングマップの作成
4.差別化を見つける

ポジショニングマップ

ポジショニングマップとは、例えば顧客属性なら保守的か革新的か、個人主義的なのか家族主義的なのか、などから自社商品の位置づけを探るマップのことです。顧客から魅力的で価値があると認識される立ち位置を確立しましょう。

STP分析の各段階でのポイント

STPは基本的にS(セグメンテーション)→T(ターゲティング)→P(ポジショニング)の順に進めるのが定石ですが、どの項目から始めてもそれぞれが連動しているので問題はありません。ただ、どこから始めるか迷う場合は、市場全体像を把握できるセグメンテーションから始めましょう。

セグメンテーションはニーズと属性をセットで考える

セグメンテーションの基準となる4つの軸を先にご紹介しましたが、その基準は大切にしつつも、ユーザーのニーズに着目することが重要です。セグメンテーションを徹底的に行うということは、すなわちニーズと属性を徹底的に分析することでもあります。

例えば、ユーザーの商品に対するニーズや関心事で項目を設定し、ユーザーがどの項目をどれだけ重視するのか、そのユーザーはどんな属性か、をセットで考えましょう。ニーズと属性を切り離すことなく「どんなニーズを持ったどんな属性の顧客なのか」とひとまとめに捉えることがポイントです。

ターゲティングはリアルな理想のユーザー像を作る

ターゲティングを決定したら、6Rと呼ばれる6つの概念で評価し、本当にそのターゲティングが適切であるかを再検証しましょう。また、この6Rはターゲティングと密接な関係を持つセグメンテーションでも活用可能です。

<6Rとは>

  1. Realistic(Realistic Scale):市場規模
    …適切な市場規模の有無を判断。大きすぎる場合は絞り込む、小さすぎは無意味です。
  2. Rate(Rate of Growth):成長性
    …市場の成長性を判断。導入期~衰退期のどの段階かも見極めましょう。
  3. Rank/Ripple Effect:顧客の優先順位
    …ターゲティングした市場の顧客が持つ周囲への影響力。波及効果の高い層を優先しましょう。
  4. Reach:到達可能性
    …自社の商品やサービスが届く位置に顧客がいるかどうか測定しましょう。
  5. Rival:競合状況
    …狙う市場に強力な競合相手がいるか。理想はライバルの少ない市場です。
  6. Response:反応の測定可能性
    …自社が取ったマーケティング施策への反応が計測可能かどうか、精査しましょう。

その後、さらに理想のユーザー像(=ペルソナ)を絞り込むこと。これは「層」ではなく、年齢や性別、職業、学歴、収入など具体的な条件を入れた1人の「人物像」を創り上げることが重要です。そのペルソナの視点をべースとすることで商品づくりやニーズの把握、共感度が高まり、マーケットインの発想が可能になるからです。

ポジショニングは明確でわかりやすいか

先に、ポジショニングの流れの中でも触れましたが、欲張って多くの指標で比較しようとすると煩雑化します。基本的には1~4つくらいの指標で比較をすることをおすすめします。

また、自社の立ち位置やプロモーション方法などポジショニングが明確に共有されていないと、社内でのマーケティング戦略なども定まりづらくなります。ポジショニングマップを作成することで、明確化と共有化を図ることが重要です。さらに、競合他社との比較において、自社の優位性が保てるポジショニングになっているかについても、調査結果などをしっかり分析し、冷静な目で判断することが大切です。

そのためにも、精度の高いポジショニングマップを作成し、関係者が理解しやすく共有できる明確な指標として展開しましょう。

各段階での成功事例

では、具体的にS=セグメンテーション、T=ターゲティング、P=ポジショニング、の各段階での成功事例をご紹介します。そこから、ぜひ自社のSTP分析の参考となるポイントを見つけてみてください。

セグメンテーションの成功事例(ユニクロ)

ファストファッション大手ユニクロは、セグメンテーションの成功例としてもよく知られています。

業界内では多様化する一方の趣味趣向やトレンドに対して、細分化するセグメンテーションで対応していくのが常識でしたが、同社は細分化する流れを逆に統合して成功しました。ファッションを「カジュアルとフォーマル」、「トレンドとベーシック」という軸で大きくとらえ直し、「ベーシック・カジュアル」というセグメンテーションで「生産する商品の限定」を狙い、自社の強みを最大限に活かしたのです。

これは既に成熟した市場において、市場を新たに生み出した事例でもあります。

ターゲティングの成功事例(スターバックス)

ターゲティングで成功した事例のひとつとして、スターバックスをご紹介します。

同社は「大都市圏に勤める、比較的所得の高いオフィスワーカー」とターゲティングを明確にし、それに合わせた戦略として、当時セルフカフェなら200円程度で飲めたコーヒーを500円~としました(当時)。スペシャリティコーヒーストアとして高品質の豆を使い、高級ソファでゆったりとコーヒーを楽しめる場所を提供するという戦略を取ったのです。

1996年にアジア第1号店を銀座に出店して以来、今では国内のカフェチェーンでは最も多い1,400近い店舗数にまで成長しています。

ポジショニングの成功事例(シーブリーズ)

シーブリーズは米国で誕生し、日本デビューは1969年。80年前後にはマリンスポーツがトレンドの中心となり、「20~30歳代のマリンスポーツを楽しむアクティブな男性」をメインターゲットとしていました。

しかし、徐々に海へ行く人口も減り低迷したことから、ターゲットを「街中にいる10代の女子高生」へと変更し、若い女性たちが日常的に使うことのできる製品へとポジショニングを変更。それにより、売上は以前の8倍を達成。

ニーズを多角的に把握し、最も購買意欲の高いターゲットに向けたポジショニングを行うことで成功した好事例です。

STP分析で判明したニーズ層に効率よく訴求するにはチャットボット

マーケティングには欠かせないSTP分析のポイントについて見てきましたが、実際に分析で明確になったニーズ層に、今後どう効果的な訴求するか、が問題になります。そこで、いま導入する企業が増えているチャットボットを活用することもひとつの方法です。

チャットボットとは、「chat(対話)」ができる「bot(ロボット)」のことで、単なるデータベースと連動したシステムにとどまらず、今やユーザーと企業をつなぐコミュニケーションツールとして大いに活躍しています。

導入による主なメリットには以下があります。

  1. 顧客との接点の増加
  2. ユーザーニーズとのマッチング
  3. 顧客接点増加やデータ蓄積によるマーケティング戦略の立案

年齢層にもよりますが、電話やメールよりもチャットの方が身近に感じられ、簡単な問い合わせでも心理的ハードルが下がると言われています。「相手が人間でない」ことによる気軽さや、ユーザーのサイト内行動等に合わせて自動的に話しかけたりすることで、顧客接点を増やすことができるのです。それにより、ポジショニングをアピールしやすくなるメリットも大きく、こうした特性や利点を活かしたプロモーション事例も各業界で増えています。

まとめ

STP分析とその成功事例を見てきました。自社の商品やサービスに対するニーズのある最適な層に対していかに効果のあるプロモーションをしていくのか。これは企業にとって常に大きな課題です。紹介した成功事例や他の事例から学びつつ、進化する技術を活用したチャットボットのようなツールの利用も検討してみてはいかがでしょうか。