チャットボットのシナリオ設計の流れとポイント~準備編~

目次

Web上にてチャット形式の会話でユーザーとやり取りするロボットが「チャットボット」と呼ばれるツールです。近年多くのECサイトや企業のオフィシャルHPで導入が進み、いままさに導入を検討中だという会社もあるかもしれません。
そんなチャットボットの設計にまず欠かせないのが「シナリオの構築」。このシナリオに不備があると、完成後にうまく動いてくれません。本記事では、失敗しないシナリオ設計の方法を詳しくご紹介します。

チャットボットのシナリオ設計の前に考えておくこと

チャットボットのシナリオ設計の前に考えておくこと
チャットボットのシナリオ設計を始める前には、運用の目的や解決したい課題等、現状の整理が必要になってきます。整理の際は、以下の点を考慮しながら進めてみてください。

  • チャットボットの導入の目的は何か
  • チャットボットにどこまで対応させるか
  • よくある質問や問い合わせは何か
  • 問い合わせまでにどのページを経由してきているか

チャットボットの導入の目的は何か

「カスタマーサポート業務を代行させ、人的リソースの負担を減らしたい」「ECサイトでユーザーが探している商品ページにスムーズに誘導し、CVRを向上させたい」等、チャットボットを導入する目的にはさまざまなものが考えられます。

導入目的によって運用方法やシナリオ設計も変わってくるため、「何となく導入する」のではなく、チャットボットにどんなソリューションを期待しているのかをまず明確にする必要があります。

【関連記事】チャットボットの使い方と導入メリット~ツール選定やシナリオ作成のコツ

チャットボットにどこまで対応させるか

導入目的がはっきりしたら、チャットボットに対応させる業務の範囲を決めましょう。たとえば「ユーザーの質問に対して該当するFAQページのリンクを教える」といった単純なやり取りなのか、「過去の購入履歴から似たような商品をおすすめする」のかでは、用意すべきシナリオがまったく違ってきます。

チャットボットに、より複雑で人間に近い作業をさせたい場合は、その分だけ高度なシナリオを作成しなければなりません。シナリオの準備にどれだけの工数がかかるのか、導入前にしっかりシミュレーションしておきましょう。

よくある質問や問い合わせは何か

チャットボットにユーザーからのお問い合わせ対応を任せたい場合は、まずどんな内容の問い合わせや質問が多いのかを洗い出しておきましょう。

問い合わせの内容は、ECサイトのカスタマーサポートであれば「この服の在庫があるか知りたい」「製品が壊れたがどこに連絡すればよいか」などが考えられます。一方、社内利用時の社員からの問い合わせであれば「慶弔休暇の取り方を知りたい」「PCを社外からリモート接続するには」といった、ヘルプデスクに聞くような質問が多くなるでしょう。

それぞれの場面に合わせた質問事項を想定することが大切です。

【関連記事】チャットボット導入のメリット・問い合わせの内容が定型化した企業におすすめ

問い合わせまでにどのページを経由してきているか

ユーザーが実際の問い合わせまでにどんなページを経由してきているか、サイト遷移を把握することもシナリオ設計に大いに役に立ちます。

ユーザーがすでに閲覧したページに載っている内容をただ伝えても、何の解決にもなりません。すでに見た内容を提示してもユーザーを苛立たせるだけで、むしろ逆効果になってしまいます。ユーザーはそのページでは悩みを解決できなかったからこそ問い合わせに至っているため、シナリオを設計時にはこうしたユーザー心理を汲んで考える必要があります。

すでに閲覧済みの内容しかチャットボットが回答できない場合は、人間のオペレーターにつなぐ等のスムーズな連携構築も必要になってきます。

チャットボットのシナリオ設計の流れ

チャットボットのシナリオ設計の流れ
チャットボットのシナリオの設計は、以下の手順に従って行うとスムーズです。

  1. 問いかけと回答を準備する
  2. シナリオ構成を組み立て落とし込む
  3. 正しく動くかテストする

問いかけと回答を準備する

まず初めに、「よくある問い合わせ」に対する効果的な問いかけと回答を考えます。

料金関連の問い合わせであれば、「支払い方法」「クレジットカードの取り扱い」「振込手数料」など、関連するキーワードをできる限りピックアップし、さらに「何の料金なのか」「支払方法に困っているのか、振込手数料を聞きたいのか」といった問いかけを数パターン用意します。

正しい回答につなげるための問いかけ例を過不足なく挙げるには、チャットボットを使うユーザーのペルソナを設定することも有効です。ターゲットとなるユーザーの属性や性別、年齢から「こういう流れで問い合わせするはず」と想定することで、より正確なシナリオを作り上げることができます。

シナリオ構成を組み立て落とし込む

ターゲットユーザーと、そのユーザーが聞いてくるであろう「よくある質問」、さらに問い合わせに対する回答が用意できたら、実際にシナリオの骨組みを作って内容を落とし込んでいきます。

シナリオは「診断型シナリオ」と「顧客満足度型シナリオ」の大きく2つに分類でき、シナリオ作りに迷ったらいずれかのパターンをベースにするといいでしょう。

「診断型シナリオ」とは、旅行のプラン選びや洋服のサイズなど、ひとつの質問に対して複数の選択肢が用意されている場合に用います。この時に注意したいのは選択肢を多くし過ぎないこと。ひとつの質問につき3~5個くらいの選択肢にしないと、ユーザーがかえって迷ってしまいます。
チャットボットのシナリオ設計-シナリオ構成

一方「顧客満足度型シナリオ」とは、選択肢での回答に留まらず、よりユーザーに寄り添った会話をするシナリオです。ECサイトで自分に似合う洋服を探しているユーザーに、季節に合わせたコーディネートを提案したり、過去の購買履歴からおすすめの商品をピックアップしたりといったやり取りが想定されます。

「顧客満足度シナリオ」の方がシナリオ設計はより複雑になりますが、一度導入すればチャットボットが解決できる範囲が広がるため、ユーザー対応にかける人的リソースの削減に効果的です。

正しく動くかテストする

シナリオができあがったら、チャットボットが想定通りに動くかどうか、必ず関係部署で読み合わせをしてテストしてみましょう。シナリオのつながりがおかしいところはないか、「手詰まり」を起こさないかを複数人の目でチェックしてください。

この際、まったく開発に携わってこなかった他部署のメンバーをテストに加えると、新鮮な目線(フレッシュ・アイ)でチャットボットを検証できるため、より精度を上げるために有効です。

チャットボットのシナリオ設計するときのポイント

チャットボットのシナリオを設計する際、次の点にも注意するといいでしょう。

  • 文脈やトンマナを運用先に合わせる
  • 会話のステップが多すぎないかフローチャートで確認する

文脈やトンマナを運用先に合わせる

運用するWebサイトで扱うコンテンツや、サイトを訪れるユーザー層に合わせた文脈やトンマナを心がけましょう。若者向けのファッションアイテムを販売するECサイトで堅苦しすぎる敬語は望まれませんし、逆に年代が上のターゲット層を狙うのにくだけ過ぎた口調は合いません。

チャットボット自体のデザインも、同じくWebサイトに合わせて臨機応変に設定しましょう。無機質な企業ロゴから親しみやすいアニメーションのキャラクターに変えることで、チャットボットの利用率が一気に上がったという事例もあります。TPOに合わせて使い分けてみてください。

会話のステップが多すぎないかフローチャートで確認する

シナリオを設計する際は、余分な会話で無駄にステップを増やさないよう、注意が必要です。求める解答に行きつくまでのステップが多すぎると、ユーザーは疲弊しサイトから離脱してしまうリスクが高まります。

理路整然として無駄のないシナリオを設計するには、下記のように質問ごとに分岐させたフローチャートにまとめてみるといいでしょう。質問に対する次のアクションが明確になり、シナリオの抜け漏れ防止にもつながります。
チャットボットのシナリオ設計-フローチャート

まとめ

導入前にいかに精度の高いシナリオを作成できるか、これがチャットボットそのものの品質を左右するといって過言ではありません。本記事を参考に、貴社やユーザーが解決したい課題に合わせたシナリオを用意し、ぜひチャットボットを有効に活用してください!