投稿日:2020.2.4 / 更新日:2024.2.5

チャットボットの仕組みとAIとの違い~導入・活用事例も紹介

人間と会話(チャット)するためにプログラムされたロボットである、チャットボット。現在では企業ホームページの問い合わせ対応やECサイトの商品提案など、さまざまな場で活躍しています。

では、チャットボットを動かしているのはどのような仕組みなのでしょうか? かつては人間が組んだプログラムの通りにしか動けなかったため、人工知能に対して「人工無脳」などと呼ばれたこともありましたが、今はAI(人工知能)を組み込んだタイプも登場しています。

チャットボットの種類による仕組みの違いを、AI搭載型と人工無脳型に分けて詳しく解説します。

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チャットボットの仕組み

チャットボットとは、会話(チャット)とロボット(ボット)を組み合わせた、自動会話プログラムを指す言葉です。現在ではLINEやFacebook Messenger、Slackをはじめ、多くのSNSやツールにてチャットボットを応用したサービスが提供され、より人間に近い自然な会話が実現可能になっています。

あまりにもスムーズな受け答えに、すべてのチャットボットにAIが搭載されていると思われるかもしれませんが、AI非搭載型の「人工無脳型」と呼ばれるチャットボットも数多く存在しています。

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AIを搭載していない人工無脳とは

人工無脳

AIを搭載していないチャットボットは「人工無脳型」と呼ばれています。「脳がない」というのは文字通り自ら考えて答えを導き出す機能を持たず、あらかじめ人間が設定したプログラムに従った会話を展開するという意味です。

このタイプのチャットボットは「ルールベース型(シナリオ型)」とも呼ばれており、人間のように「学習、推論、判断」をして成長していくAIとはまったく異なるものです。

チャットボット AI
構築されたプログラムをベースに、人間とのコミュニケーションのような受け答えを行うシステム 人間のように「学習、推論、判断」をして成長していく機能を有したテクノロジー

関連記事:シナリオ型・AI型のチャットボットを比較~導入メリットとシナリオ作成のコツ

人工無脳のチャットボットの種類は大きく4つ

「人工無脳型」のチャットボットは、プログラミングの種類によって大きく以下の4つのタイプに分類できます。

  • Elizaタイプ
  • 選択肢タイプ
  • 辞書タイプ
  • ログタイプ

「はい」「いいえ」で返答していく【Elizaタイプ】

Elizaタイプは、チャットボットの原型となった“Eliza”から名づけられたもので、基本的には「聞き役」に徹するロボットのことです。

Elizaが生まれたのは1966年と古く、問いかけに対して「はい」「いいえ」もしくは相づちのみで返答し、相手の言葉を要約したり繰り返したりして会話を成立させます。

設定された回答を選択して会話する【選択肢タイプ】

選択肢タイプは、あらかじめ決められたシナリオに沿って、選択式で会話を進めるチャットボットのことです。

質問に対して「A」or「B」のいずれかを選んで会話するため、「A」でも「B」でもない回答をしなければならなくなると、会話が成立しなくなってしまいます。

登録されたテンプレートを基に会話する【辞書タイプ】

辞書タイプは「ハッシュタイプ」とも呼ばれ、あらかじめ辞書に登録されたテンプレートをもとに、会話を進めるチャットボットのことです。

会話の範囲が限定されたシチュエーションでの利用に最適で、受け答えにはまったく問題が生じません。

会話の記録を蓄積して会話する【ログタイプ】

ログタイプは、これまでの会話をログとして記録し、ログをどんどん蓄積することで、より人間に近い自然な会話ができるようになるチャットボットのことです。

優れた機能を持つ一方、ログの量が十分でないと会話が続かなくなってしまうため、利用には注意が必要です。最近ではログ解析にAIを導入し、さらに会話の精度をアップさせる試みも始まっています。

AI(人工知能)を使用したチャットボットの特徴

AI(人工知能)を使用したチャットボットの特徴

上記の「人工無脳型」チャットボットのほか、近年ではAIの開発を進め、より自然でスムーズな会話ができるようになった「AI搭載型」のチャットボットも増えてきています。

搭載されたAIにより、会話の履歴などのデータから学習する能力を持ち合わせ、より最適な回答を自動的に導き出せるという優れた面もある一方、やはり人為的なメンテナンスは欠かせず、“オール自動”とまではいきません。

また、AIの世界では、より正確で効率的な判断を実現させる「ディープラーニング」と呼ばれる技術革新が進んでおり、チャットボットの新たな成長にも大きな期待が寄せられています。

チャットボットとAIチャットボットの違い

では、「人工無脳型」と「AI搭載型」のチャットボットでは、何がどのように違うのでしょうか?

それぞれのできること・できないこと、どのような用途に向いているのかなど、その違いを比較していきます。

<人工無脳型チャットボットの特徴>

  • 電話番号を聞かれたときに、番号を教えるなどのパターン化された会話が可能
  • 質問に対して「はい」か「いいえ」の回答が完璧にできる
  • 「Aを買った人にはBを勧める」といった定型のレコメンデーションができる

<人工無脳型チャットボットに向いている用途>

  • 企業ホームページの「問い合わせ業務」の代行
  • ECサイトなどで、ユーザーの好みに沿った商品を探すお手伝い
  • よくある質問への回答が載っているFAQサイトへ誘導

関連記事:チャットボットとFAQの違いとは?チャットボット導入のメリット・デメリット

<AI搭載型チャットボットの特徴>

  • 人間らしい、自然な会話の流れを作ることができる
  • 会話の流れから相手のニーズを読み取り、最もふさわしい回答をすることができる

<AI搭載型チャットボットに向いている用途>

  • クレーム処理などの応対
  • 飲食店サイトなどの予約代行
  • ユーザーが好みそうな商品のレコメンデーション

関連記事:チャットボット導入のメリットとデメリットとは?導入をおすすめする企業の条件

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AIチャットボットの導入・活用事例

AIチャットボットの導入・活用事例

AI搭載型のチャットボットはより人間に近い会話ができるため、人工無脳型よりも活躍できるシーンは広がります。

AI搭載型チャットボットを実際に導入し、成功した企業の事例を見ていきましょう。

AIチャットボット・ベル助が「聞きたくても聞けない」を解消!

企業名

株式会社ベルパーク

抱えていた課題

全国に300店舗近いキャリアショップを運営する同社。毎日、全国のショップから管理部門への問い合わせの電話が絶えず、対応に苦慮していました。

AIチャットボット導入によって解決できたこと

AIチャットボットに「ベル助」と愛称をつけ、問い合わせ件数が多い内容から片っ端にデータを入力。人事は人事、総務は総務と部署ごとに多い問い合わせ内容を「ベル助」に覚えさせることで、数カ月で網羅的なデータベースが完成しました。

続いて社内で「ベル助」に認知を高めてもらうため、イラストで可愛いキャラクターを作成し、「みんなでベル助を育てよう」という共通認識を醸成。次第にベル助はよく知られる存在になり、「わざわざ電話するほどでもないけど、ベル助に聞いてみようかな」といった気軽な問い合わせが増え、結果として社員の「聞きたくても聞けない」という悩みが軽減。

結果、管理部門への問い合わせ件数も激減すると同時に、会社全体の生産性の向上に繋がっています。

LOHACOのCSを支えるチャットボット「マナミさん」

企業名

アスクル株式会社

抱えていた課題

同社が運営する通販サイト「LOHACO」は、堅調な事業の伸びを見せていましたが、ユーザー数の増加に伴い問い合わせ件数も膨大になり、メールや電話窓口では追い付けない状況に。ユーザーに自分で問題を解決してもらうべく、AI型チャットボットの導入を決定しました。

AIチャットボット導入によって解決できたこと

当初はアイコンにLOHACOのロゴマークを用いたチャットボットを使っていたが、ユーザーに親近感を持たれず、利用件数が伸び悩んでいました。

そこで、女性のキャラクター「マナミさん」を立ち上げ、一人の人間に話しかけているかのような感覚でチャットしてもらうことに成功。チャットボットの利用率が急速に高まり、今では月間で電話のオペレーター6.5人分と同等の仕事量をこなしています。

その後も「マナミさん」がスモールトークや雑談のようなやり取りが得意になるようにブラッシュアップを続けた結果、ユーザーが「マナミさん」とのチャット自体を楽しみにLOHACOサイトを訪れるようになり、CSの向上に多大な貢献をしています。

まとめ

チャットボットは、システムを動かす仕組みによって「人口無脳型」と「AI搭載型」に大別され、それぞれに得意・不得意があります。

定型かつ単純なやり取りでよければ「人口無脳型」、人間らしい自然なトーク力を求めるのであれば「AI搭載型」と、チャットボット導入の目的によって上手に使い分けてみてください。

そのためには、チャットボットによってどんな課題を解決したいのかを見極めることが、もっとも大切になってきます。チャットボットによって得たいソリューションをしっかり定義することから始めてみましょう。

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